「デキアイ」の魅力
沢山の魅力からいくつかピックアップします
演奏者”ではない”人の物語
音楽をテーマにした漫画はこれまで数多くありましたが、その殆どは楽器演奏者が主人公です。しかし、音楽や楽器の世界はそれ以外の人たちにも支えられています。デキアイは演奏はできないけど電子楽器に興味がある女の子の物語です。
精緻な電子楽器描写
デキアイに登場する電子楽器は全て実際のモデルが存在します。楽器の描写に妥協せず、殆どの楽器は作者が楽器の仕様から3DCGモデルを一から作成して描写されています。
解説漫画でありストーリー漫画
デキアイは各話で電子楽器の歴史を追うように、楽器の仕組みや与えた影響を知ることができます。この漫画を読めば、電子楽器の歴史と種類の概観を把握できます。にも関わらず、ただの解説漫画にとどまらず、主人公の成長をメインとしたストーリー漫画に仕上がっています。
And more
ストーリー
電子楽器を学びながら主人公の成長の物語を楽しんでください。全11話構成(SIGNAL1~11)です。
SIGNAL1:
スイッチト・オン・コハク
Switched-On Kohaku
あらすじ:
高校入学を迎えた主人公「三枝琥珀」は、入学式後の部活紹介で電子楽器同好会に興味を持つ。部室を訪れた琥珀は、電子楽器をこよなく愛する「桟郁音」と出会う。
キーワード:
KORG Electrive EMX-1,Sony MDR-7506,Roland SH-101,Roland EP-10,テルハーモニウム
参考:
Switched-On Bach / Wendy Carlos(1968) 電子楽器-過去現在未来/三枝文夫(2021)/ミュージックレコード社 近現代日本における洋楽器産業と音楽文化/田中健次(1998) 電気技術時代の音楽/プリーベルク(1963)/音楽之友社
SIGNAL2:
アンバーフレークス・アー・ダンシング
Amberflakes Are Dancing
あらすじ:
流されるまま電子楽器同好会に入会することになった琥珀。しかし、生徒会により部室からの立ち退きを告知される。憂れる郁音を見て、勢いで同好会を部に復興させ、部室の占有を正当化するために動き出す。
キーワード:
未来技術遺産,Roland TR-808,SH-101,MT-32,MPU-PC98,KORG MS-20,YAMAHA DX7,CASIO Casiotone 201,Moog MoogIIIc,
参考:
Snowflakes Are Dancing / Isao Tomita(1974) 音楽通論/田辺尚雄(1959)/東京電機大学 電子楽器の技術発展の系統化調査/北口二朗(2019)/国立科学博物館
SIGNAL3:
琥珀解体
The Kohaku-Machine
あらすじ:
電子楽器同好会を部にするため、新たなメンバーを探す琥珀。なかなか適任者が見つからない中、電子工作が好きというクラスメイト「喜久本照」に目をつける。音楽にも楽器に興味のない彼女に興味を持ってもらうため、電子楽器の奥深さを語っていく。
キーワード:
テルミン,オンド・マルトノ,RCA Theremin,Martenot Ondes-Martenot
参考:
Switched-On Bach / Wendy Carlos(1968) RCATheremin.com 電子楽器と電気楽器のすべて/誠文堂新光社(1966) 修復の理論/Cesare Brandi
SIGNAL4:
コハクノ・アシッド・トラックス
Kohaku's Acid Tracks
あらすじ:
メンバーが集まらないのに、楽しそうに電子楽器を語る郁音。不安の中、琥珀の過去と心情が少しずつ見えてくる。一見落ち着いて見える電子楽器同好会に新たな人物の影が忍び寄る。
キーワード:
シンセサイザー,Roland TB-303,KORG MS-20,YAMAHA DX7,RCA Theremin,Moog MoogIIIc
参考:
Acid Tracks / Phuture(1987)
SIGNAL5:
シーズ・ゴット・トゥ・ヘルプ・ハーセルフ
She's Got To Help Yourself
あらすじ:
突如現れ、郁音の恋人を自称する「則安沙緒」。メンバー集めも行き詰まりに、沙緒の登場が重なり、混乱する琥珀。郁音の軽はずみな一言により琥珀が爆発する。
キーワード:
PCM音源,CASIO SA-76
参考:
You've Got To Help Yourself / YMO(1983)
SIGNAL6:
アンバー・オブ・パシフィック・ステイト
Amber Of Pacific State
あらすじ:
結束も高まり順調に見えたかに思えた同好会。しかし、刻一刻と生徒会長からの圧力は高まっていた。間に入り、一人奮闘する「黒田銀子」。琥珀は銀子に何を見るのか。
キーワード:
ドラムマシン,リズムマシン,Roland TR-808,Linn Electronics LinnDrum
参考:
Pacific State / 808state(1989)
SIGNAL7:
琥珀高原
Kohaku Kogen
あらすじ:
電子楽器同好会に触れることで自分を見つめ直した銀子は行動する。琥珀たちは、未来技術遺産である電子楽器を着実に修復しており、同好会が部となる条件を満たそうとしていてた。
キーワード:
FM音源,YAMAHA DX7
参考:
黄土高原 / 坂本龍一(1986)
SIGNAL8:
コハクズ・ドリーム・エンド・カム・トゥルー
kohaku's dream end come true
あらすじ:
琥珀に突きつけられた生徒会長の意思。何の役割も果たせなかった琥珀は、自分が電子楽器同好会にいる意味を考える。
キーワード:
MIDI
参考:
dream's end come true / world's end girlfriend(2002)
SIGNAL9:
スターリー・スカイ・ウィズ・アンバーアイズ
Starry sky with Amber eyes
あらすじ:
生徒会長に指摘された同好会の問題点を攻略するため、話し合う琥珀たち。郁音がしぶしぶ出した情報から一筋の光が見える。同好会の運命は再び明確に琥珀の背に託されていく。
キーワード:
参考:
Starry sky / capsule(2006)
SIGNAL10:
ファインダー(kohaku's “Finder Is Never Desktop Experience Remix”)
Finder
あらすじ:
文化祭のライブを目指し動く琥珀。琥珀は自分がもつ苦い過去を乗り越えて演奏するため、妹と対峙する。琥珀は、入学式に見た郁音にはできなかったことを成す。前を見て壇上に立つ。
キーワード:
サンプリング
参考:
ファインダー(imoutoid's “Finder Is Not Desktop Experience Remix”)/ imoutoid(2009)
SIGNAL11:
コハク
AMBER
あらすじ:
文化祭でのライブを終えた琥珀たち。目立ちすぎた電子楽器同好会は大人の思惑に少しずつ絡め取られていく。それを知らない琥珀たちは、束の間の日常を楽しむ。
キーワード:
虫入り琥珀,鉱石ラジオ
参考:
よくある質問
物理本で書籍化しませんか?
機会があれば是非したいです!出版に関してはミュージック・コミックス株式会社に委託しているため、お手数ですがそちらにお問い合わせください。
著者は電子楽器とどういう関わりがありますか?
著者自身は20年程前にDTMを始めて、都度都度欲しい機材があると買って触って遊んだりしている趣味人です。実際に楽曲制作に関わるようなトラックメイカーやプレイヤーではないので、プロフェッショナルな業界での常識が描写されていない可能性があります。可能な限り文献や書籍の情報を確認して記載していますが、間違いがあるかもしれません。マイコンでデジタルシンセを制作したりもしています。
レストアの描写が甘くないですか?
レストア自体にフィーチャーした作品ではないため、そこは浅い描写に留めています。アナログ回路の話を始めると専門性が高すぎるため、電子楽器を知らない方の読むハードルが高くなってしまうからです。レストアをテーマにしたアナログ回路・音響機器の漫画があるなら是非読んでみたいので、誰か描いてくれると嬉しいです。
出てくる電子楽器や技術に偏りがないですか?
あります。諸々の都合上、国内メーカーの製品が多くなっています。シンセの話をするならMoogのラダーフィルタの話は必須じゃないか!という声も聞こえてきそうですが、私のストーリーテリングと表現の技術が足りずに実現できたなかったことは多くあります。
お問い合わせ
作品の出版・配信に関するお問い合わせは「ミュージック・コミックス株式会社」へお願いします。その他、ご質問やご感想などは、著者の個人アカウントへもご気軽にください。
-
Email us
nanika.sheila@gmail.com
-
Follow us
@nanika_sheila
著者
おはようございます。ナニカシイラです。 ネットの海に海月のように、揺蕩い続けて二十年。その間、手慰みに色々な趣味に手を出してきました。プログラミングにはじまり、DTM、電子工作、イラスト、歴史、3DCG、等々。そんな机上の無頼が私であります。何事も浅瀬でぷかぷかちゃぷちゃぷ、誰の役に立つでなし、散木の生き方もあろうよと考えておりました。しかしながら、この度機会をいただき、ミュージック・コミックス様で漫画を描くことになりました。大変です。見出されてしまいました。これから私はどうすればいいのでしょう?考えてみるに、海水浴場では厄介者とされる海月が、水族館では美しいと言われることもあれば、実をつけず建材にもならない櫟の大木も、鳥や虫たちの憩いの場であったりもするのでしょう。一龍一蛇、私が龍になるか蛇になるかは世界次第ってことで、相変わらずゆらゆらと、あるいはどっしりと、机に向かうことにしましょう。